朝早く船はリザード島に到着していた。
リザード島の一番高い山から日の出を見ようぜツアーに参加者している人たちは、すでに上陸して登頂を開始しているの様子だ。
デッキで朝のコーヒーを飲みながら、ゆっくりと眠りから覚めようとしているリザード島を見ながら俺は結構感激してしまった。
リザード島に憧れて約20年。 やっとここにやって来たというなんとも言えない満足感が全身を支配していたのである。
なんでここに来るのに、20年も月日を要したかというと単に金が無かったという簡単な落ちである。 あちらこちら世界中をふらついていて金が無いとはいったいどういうことなのかと、思いの方もいらっしゃるかもしれないが、ここリザード島の宿泊料金が一泊15万円〜という現状ではホイホイとは決して来れないのである。 だってそうでしょ!今回の4泊5日のクルーズ(全食、コーヒー、スナック付)のツアーと同じ料金なのだから! しかもリザード島ではこれが最低の部屋で食事なし、さらにここへは飛行機をチャーターしないと来れないのであるから・・・・ケアンズからだと片道3万円くらいかかるかも。 ウワサによれば世界のセレブや超有名なロックシンガーが自家用ジェットなんかでやってくる隠れ家的なリゾートアイランドなのである。
今回はセレブがご利用するリゾートエリアには入れないものの、すぐ隣のビーチでシュノーケルを思いっきりエンジョイして、スキがあればセレブがお使いになる自家用ジェット用滑走路をビーサンでペタペタ歩いてやろうともくろんでいた。
朝食が済むと、セレブとはほど遠いオデブの観光客を詰め込んだテンダーボートがゆらゆらとリザード島のビーチに向かった。
我々が上陸したのは、ミセスワトソンビーチと言われるかなり美しい入江。もちろん透明度は抜群で珊瑚礁もいたるところにあった。
どっちにしろ、テンダーボートでやってきたクルーズ客の数十人しかこのビーチにいないのだから、ほぼプライベートビーチ感覚でみんなは思い思いに前線基地を確保するとどんどん海へ入っていった。
午前中の満潮時だったからかも知れないけれど、沖へ向かって約100メートル位浅瀬が続き、そこから珊瑚礁の海になっていた。
だいたいこの手のクルーズだとシュノーケルと足ヒレは無料で貸し出してくれて、あまりうまく泳げない人や老人向けに浮き輪やライフジャケットも貸してくれるので、美しいクリスタルクリアーの海をあちらこちらと泳ぎ回れるのである。
もちろん海に入らなくても、グラスボトムボートで海底を見て回れるツアーももちろん無料でやってくれる。
相変わらずのオージーイングリッシュで解説を聞くのに苦労したというか、ほとんど理解できなかったけれども、サンゴの海を楽しく泳ぎまわる熱帯魚を見ているだけでも時間を忘れてしまいそうだ。
ほどなくしてビーチには、クルーズ船リーフエンデバーの乗組員により大型テントが設営されタオルやドリンク類のサービスを行っていた。 自動販売機など絶対無い環境の場所だから、これは有難いサービスである。 昨年のフィージーのヤサワ諸島クルーズでは、こういった趣向のテントで果物やケーキなども配っていたけれども、今回は残念ながらドリンク類のみであった。
昼食はいったん船に戻り、デッキにてバイキングと生ビール。 一息入れて午後に再び島に戻ると今度は腹ごなしにハイキングをすることにした。
とりわけコースも行き先も決めていなかったけれども、マングローブの森の中にウッドデッキでできたおしゃれなハイキングコースがあったので、トカゲを探しながら、島の中心部へと向かっていった。
そもそもなぜここでトカゲかというと、リザード島ということだけあってキャプテンクックが初めてこの島を訪れた時に大きなトカゲが沢山生息していたのでこの島の名前をつけたと言われている。
炎天下の中30分ほどトカゲ探しをしながらフラフラ歩いていると、いきなり滑走路に出てしまった。
それは本当にいきなり表れて、周りに柵も無ければ管制塔といった豪勢な設備も無い。あるのは、一本の吹流しと簡易舗装された滑走路のみであった。
念願のペタペタとやったしこれからどうしたものかと滑走路脇の看板を見ていたら、いきなりどこからとも無く現れた中年のオージー男女2名づつのグループが登場してその中の一人に声をかけられた。 「マングローブビーチへ行くのか?よし一緒に行こう!!」っとレンジャー(自然保護官)のようないでたちをしたオヤジは、うちらに手招きをするとこの滑走路に沿っていくのが一番早いのだと言ってスタスタ歩いていってしまった。
とても美しいビーチがあるらしいので、我々も滑走路に沿ってやってくるかもしれない飛行機にひかれないようにしながら、注意深く前進していったのである。
それから、やはりトカゲを探しながら20分ほど歩いて滑走路の端を過たころになると一気に視界が開けて、目の前に美しいブルーラグーンが登場した。 海の色が手前のうす水色から沖に向かうにしたがってコバルトブルーに変化していき、遥か沖には島が二つ見えてその向こう側は水平線と海面が一緒になっている。 海のほうからは全身を包み込むように優しい風が吹いてきて、まさにパラダイス!世界の楽園のカレンダーの中にずっぽりと入ってしまっているような風景であった。
よく旅行のパンフレットなんかを見ると実際よりも写真のほうがよっぽど良く撮れていてなんだー的な観光地が多いけれど、オーストラリアに関しては実際のもののほうが写真よりも数倍も素晴らしいのである。 ぜひ、これをお読みの方がんばって訪れてみたください。
本日のディナーは「ISLAND NIGHT ESCAPADES」といった趣向のパーティーで、一番トロピカルな洋服で食堂へおいでくださいと船内新聞に書いてあったっけ。
いつも決まって夕方6:30からグランドピアノで生演奏をしてくれるケビンさんも今日はトロピカルにキメテいる。
さてさて本日はどんな催しがあるのだろうか。
しかし、オーストラリア人は良く食べること・・・・。
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